3 ストーリーを決めてから数字を使う
数字を使うと、なんだか客観的で信憑性が高くなったような気がします。
「儲ける」という字は「信」じる「者」です。信憑性を高めることは、儲けることにも繋がります。
数字は、現存する実態の一側面を投影した、分解された情報の一要素ですから、どの要素をどのように表していくか、ということで、相手の理解をコントロールし、自らの目的に最適な理解を植え付ける力も持っているという点に留意する必要があります。
表現を変えると、数字の意味することの理解がないままに、数字に縛られた行動をすると、本来の自分の目的から遠ざかることも有るよ、と注意すべきだとも言えます。
昨今パチンコホール営業担当者から「6号機になってスペックダウンしたから業績が上がらないのはしょうがない」的な言質が聞かれますが、どの要素(数字)に着目するか、どういう表現を(数字を使って)するか、やり方によってはお客様に魅力を感じてもらう事ができるのかもしれない、という事も考えられるのではないでしょうか。
試しに一つ演習してみます。
5号機の人気機種アイムジャグラーEX-AEの1,000円あたりのゲーム回数は設定にもよりますが、34.5回ぐらいのようです。
対して、現在導入の進む、6号機になって登場したSアイムジャグラーEXの1,000円あたりのゲーム回数は40.5回を上回るぐらいのようです。
公表されている設定ごとの出玉率表から、ほぼ100%となる設定3の大当たり確率(合成値)をみると、5号機は1/156.04、対する6号機は1/148.6となっています。
5号機で合算確率の分母に等しいゲーム数を実施しようとしたときに必要な投資金額は156.04÷34.5=4.52(千円)
6号機で合算確率の分母に等しいゲーム数を実施しようとしたときに必要な投資金額は148.6÷40.5=3.67(千円)
4.52÷3.67=123%
なんと6号機は5号機に比べて1,000円で大当たりを引く確率が23%も上がっているのです!!!
…と書きましたが、確率に詳しい方であれば計算の内容にツッコミどころ満載だろ!とおっしゃりたくなるのは、ご寛容ください。
我々パチンコホールがお客様に知っていただきたい・優先して伝えるべき情報はワクワクする情報であり、1回あたりの大当たりによって得られるメダルの獲得枚数が減ったとかいう、夢のない数字ばかりに注目することは、「イギリス株のリスクが高いかもしれないて言うのは、60歳以上に限定して致死率1%が1.3%に0.3ポイント上がっただけなんだよ」なんて記事を書いて「だからどうしたの?」って言われ、PVを稼ぎ損なうような、へなちょこ”ジャーナリスト”と呼ばれかねない、お馬鹿さん的行為と言えます。
「数字に基づく意思決定」、「データドリブン経営」を目指す時、一番最初に考えるべきことは、「数字に使われる」のではなく、「数字を使いこなす」とはどういうことかを意識することです。
道具を入れる・道具を使う前に、(実践的には「使いながら」でも間違いではあないと思います)「知りたいコトはなにか」「伝えたいコトはなにか」という、数字で表そうとしている意図を常に考え、意図に叶ったストーリーに基づき数字を収集・分析・加工する努力の継続が不可欠です。
4 結語
以上、「データベース」だの「BI」だの、「どんな道具を使うのか」は、「誰に」「何を」伝えるかを決めてからの話ですよ、というのが、例に使わせていただいた記事を読んでの気づきでありまして、ついでになりますが、「数字の意味することを考えよう」、更についでに「数字のセンスがない報道番組は“バラエティエンターテインメント”として楽しもう」ということをお耳に入れたかったがゆえのエントリーでした。